税理士FPの日々鍛錬 ~go my way~

税理士でもあるFPが日々考えていることを書きます

保険会社による保険料や保険金額の違い理由とは?

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学資保険に加入する際、ほとんどの人は支払う保険料はより安く、受け取る保険金はより大きくなるように会社を選ぶと思います。

ところで、契約する学資保険により、支払保険料や保険金の金額が違うのはなぜなのでしょうか。

保険会社による違い保険の内容による違いなど、様々な理由があるため、学資保険を選ぶ時の参考にしてもらえればと思います。

保険料や保険金の違いの理由とは?

学資保険の内容は単純で分かりやすく、どの保険会社で契約しても同じような商品を選ぶことができます。

そのため、他の保険会社との比較がしやすいのです。

同じような条件の学資保険でも、保険会社によって支払保険料が違うと、どうしてなのかと疑問に思うかもしれません。

保険会社による違いの理由

支払保険料の額が異なる原因の1つが、保険会社によってかかる費用が異なることがあげられます。

一般企業でも、会社によって規模や従業員の人数が異なるため、同じだけの売上を計上しようとしても、そのためにかかる費用が異なります。

保険会社の場合も同様で、たとえ同じ内容の事業を行っていても、その営業形態や規模などの要因により必要な費用が異なるため、支払保険料の額も異なるのです。

保険の内容による違いの理由

学資保険の内容は比較的単純で分かりやすいといいましたが、細かく見ていくとその保険によって内容が異なることがあります。

例えば、子供が大学に入学する前に100万円受け取ることができる学資保険を探しているとします。

A社で契約した場合は、子供が18歳になる時に100万円を受け取るという内容の保険でした。これに対して、B社で契約した場合は子供が17歳になる時に100万円を受け取る内容であったとします。

この場合、どちらの保険を契約しても、大学に入る前に100万円を受け取ることができます。しかし、100万円を受け取るまでの年数がB社の方が短いため、保険金を支払うまでの運用期間が短くなり、A社と比較した場合、一般的には支払保険料の総額は多くなります。

このような運用期間の違いのほか、学資保険以外の保障の有無や、節目ごとに支払われるお祝い金などの一時金の有無によって支払保険料の額は変わります。

同じ内容の保険と思っていても、実は異なるというケースがあるため、必ず保険会社の人に確認するなどしておきましょう。

自分で支払保険料を安くする方法とは?

学資保険の保険料は、その保険金額と契約者の年齢、保険料の支払期間によってほぼ決まるといっていいでしょう。

それくらい単純なものであるため、支払保険料を抑えるのは簡単なことではありません。

しかし、同じ内容の学資保険であっても、少し工夫するだけで保険料を減らすことができる場合があります。その内容を確認しておきましょう。

支払方法を月払いではなく年払いや一括払いにする

保険会社は、契約者から預かった保険料を運用して利益をあげ、そこから契約どおりの保険金を支払います。

そのため、保険会社としてはできるだけ運用益を多く獲得したいのです。運用益を少しでも多く獲得するためには、契約者から預かる保険料はできるだけ多く、運用期間はできるだけ長くする必要があります。

したがって、保険会社に対して保険料を支払うタイミングが早ければ早いほど、支払保険料の総額は少ない金額で済みます

圧倒的に一番保険料が少なくなるのは、全額を一括で支払う場合です。ただし、この場合は「保険期間の途中で亡くなったら、それ以後の保険料は支払わなくてよい」という保険としての大きな機能が失われてしまうデメリットもあります。

必要な保障を取捨選択する

学資保険に加入する時には、いくらぐらいの保険契約にすべきかよく分からないため、とにかく保障を受けられるものについては何でもつけておこう、という人がいます。

確かに保険金額やお祝い金など、受け取れるものが大きいほどうれしいのですが、受け取るためにはその分保険料の負担をしなければなりません。

必要のない保障をつけて、結果的に毎月多くの保険料を支払うのでは本末転倒です。

子供の教育について夫婦間で話をしておき、どのタイミングでお金が必要になるのか想定しておきましょう。

中でも大学入学時にかかる費用は中学や高校に入る時に必要となる金額とは桁違いとなるため、特に備えを厚くしておく一方、それ以外のタイミングでは保障をつけないという考え方もあります。

学資保険以外の保障は別の保険に加入する方法も

学資保険とほぼ同じ内容ですが、「子供保険」といった名称になっている保険もあります。

このような保険の中には、学資以外の保障が付加されている場合があります。

例えば、

  • 子供に死亡保障がついている
  • 子供の医療費に対する給付金がついている

といったものです。

しかし、本当にこのような保障内容が必要なのか、よく考えてから契約しなければなりません。

子供に死亡保障がついている

→死亡保障は本来、亡くなった人の収入で扶養されていた人の生活を保障するためのものであり、子供の死亡によって保険金を受け取ることは保険としての役割とは異なります

子供の医療費に対する給付金がついている

→子供の医療費については多くの自治体で無償化されており、給付の対象になるような医療費の支払いをすることはほとんどないかもしれません。

このような保障がついた保険に加入しても、結果的にムダな保険料を支払っているだけになる可能性が高いのです。

それならば、学資保険として契約する保険は学資だけのシンプルなものとし、別に必要な保障がある場合は掛け捨ての保険を利用するのも1つの方法です。

子供の場合は特に、自転車に乗っている時に起こした事故に対する保障、友達の家や公共のものを破損してしまった場合の保障などがあると安心なため、そのような保険を探して契約してもいいと思います。

高等学校等就学支援金制度の内容と金額、支給要件を確認

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高等学校等就学支援金制度とは、高校の授業料を実質無償化するために創設された制度です。

通っている高校の種類や所得金額に応じて支援される金額が変わります。その支給要件や支給額の計算方法を確認しておきましょう。

支給要件

日本に居住していて、高等学校等に在学する人が支給対象となります。

ただし、保護者の道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額が507,000円以上の場合は支給対象になりません。

また、在学期間が3年を超えた場合、3年を超えた月からの支給はありません。

支給額

支給額は、公立高校に通う場合と私立高校に通う場合とで大きく異なります。

公立高校に通う場合

公立高校授業料相当額である年額118,800円が支給されます。

結果的に、授業料の負担はゼロとなります。

私立高校に通う場合

私立高校に通う場合は、保護者の所得に応じて支給額が変わります。

公立高校の場合と同じく年額118,800円を基準としますが、道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額が257,500円以下の場合、支給額は最大で年額396,000円となります。

なお、実際に支給される金額は、私立高校の授業料の平均額をもとに決められます。

そのため、授業料が平均額より低い私立高校の場合には実質的に授業料の負担がゼロとなるのですが、授業料が平均額より高い私立高校の場合は授業料の負担がゼロにはならず、差額分を負担しなければなりません。

支給要件を満たす金額の目安(令和2年6月までの計算方法)

それでは、支給要件にある「道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額」はいくらくらいなのでしょうか。

収入金額や家族構成によって大きく変わるため、そのモデルケースでおおよその金額を計算してみましょう。

所得割の合算額が507,000円以下となる場合

まずは、「道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額」が507,000円以下となる目安の金額についてです。

この金額を超えると、高等学校等就学支援金制度の対象から外れることとなるため、公立高校・私立高校の別に関係なく、一切の支給を受けることができません。

この制度の適用を受けられるかどうかを判断するうえで、非常に重要なボーダーラインです。

会社員と専業主婦、高校生1人、中学生1人の場合

会社員の場合、給与と賞与の金額によって住民税の額が変わります。

ここでは所得計算の方法を詳しく説明することは省略しますが、道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額がいくらくらいになるかを計算した結果は以下のとおりです。

文部科学省の公表しているパンフレットでは、「年収910万円未満であれば支給を受けることができる」としています。この計算では住民税の税率は標準税率としているほか、社会保険料控除は給与収入×10%で計算しているようです。また、社会保険料控除と配偶者控除、扶養控除以外の控除は考慮していません。

  1. 年収900万円の場合、498,500円
  2. 年収910万円の場合、506,500円
  3. 年収920万円の場合、514,500円

社会保険料の負担割合が給与収入の10%というのは、実際の金額を考えるとやや少ないように思われます。

例えば厚生年金に加入している場合、本人の負担率は9.15%、健康保険について協会けんぽに加入している場合の本人の負担率はおよそ5%程度となっています。そのほか、雇用保険料の負担もあるため、実際の社会保険料は15%程度になるはずなのです。

仮に社会保険料控除の額を給与収入×15%で計算すると、年収970万円を超えたあたりで所得割額が507,000円を超える計算となります。

社会保険料の金額は、加入している健康保険など人によって異なるため、あくまで目安と考えておく必要があります。

同様に、生命保険料控除などの控除額が増えると、所得割額の金額は減少します。910万円が目安になるのは確かであり、給与収入が910万円を超えなければ、確実に支給要件を満たすといえます。

会社員と専業主婦、大学生1人、高校生1人の場合

大学生の子供がいると、扶養控除の金額が増えるため、所得割額は逆に減少します。

そこで、大学生の子供がいる場合の所得割額を計算してみました。

なお、扶養控除の額が変わる以外は、先ほどの計算と同じ条件としています(社会保険料控除は給与収入×10%で計算)。

すると、年収920万円の場合の所得割額は469,500円となり、かなり低い金額となります。

そこで、所得割額が507,000円以下となる金額がいくらかを計算した結果、以下のようになりました。

  1. 年収960万円の場合、501,500円
  2. 年収970万円の場合、509,500円

この場合、ちょうど960万円と970万円の間にボーダーがあることが分かります。

夫婦共働きの場合

支給対象となるかどうかを判定する所得金額は、世帯主だけでなく親権者についてその金額を合算することとされています。
したがって、夫婦共稼ぎの場合は2名分の所得割額を合算しなければなりません。

夫婦それぞれの所得割額を計算して、その合計額が507,000円を超えるかどうかの判定となりますが、給与所得控除の額が両親2人に適用されるため、単純に2人の合計給与が910万円までとか、960万円までというわけではありません。

ただし、2人の両親がどのような比率で収入を得ているかによるため、単純に合計収入で目安の金額を求めるのは難しいと言わざるを得ません。

仮に2人の収入がまったく同額であるとすると、おおよその目安となる金額は高校生1人・中学生1人の家庭の場合1,030万円以内、大学生1人・高校生1人の家庭の場合1,090万円以内です。

所得割の合算額が257,500円以下となる場合

次に、「道府県民税所得割と市町村民税所得割の合算額」が257,500円以下となる目安の金額についてです。

こちらは私立高校に通う場合に、支援金の額が118,800円となるかそれ以上に支給されるかの分かれ目となります。

私立高校に通う場合、このラインを超えているかどうかによって支給額に大きな違いが生じることになります。

会社員と専業主婦、高校生1人、中学生1人の場合

所得割額が507,000円を超える金額を求めた場合と同じように、住民税の税率は標準税率、社会保険料控除は給与収入×10%とし、社会保険料控除と配偶者控除、扶養控除以外の所得控除がないものとした場合の計算となります。

  1. 年収580万円の場合、250,500円
  2. 年収590万円の場合、257,500円
  3. 年収600万円の場合、264,500円

この場合、年収590万円以下であれば私立高校に通う場合の上限額が118,800円より大きな金額となることが分かります。

なお、実際の社会保険料控除の金額やその他の所得控除の適用によって、年収が590万円を超えても所得割額が257,500円以下になることも考えられます。

会社員と専業主婦、大学生1人、高校生1人の場合

大学生の子供がいると、扶養控除の適用額が大きくなるため、その分所得割額が少なくなります。

この場合の年収に対する所得割額は以下のようになります。

  1. 年収650万円の場合、254,500円
  2. 年収660万円の場合、261,500円

したがって、650万円と660万円の間にボーダーがあることとなります。

夫婦共働きの場合

仮に2人の収入がまったく同額であるとした場合、おおよその目安となる金額は高校生1人・中学生1人の家庭の場合660万円以内、大学生1人・高校生1人の家庭の場合720万円以内です。

令和2年7月以降の支給要件の計算方法の変更

令和2年7月以降、支給要件の計算方法が見直されます。

これまでは、ふるさと納税を多く行った人や住宅ローン控除の適用を受ける人の所得割額が減少するため、年収が計算上の金額(910万円とか590万円といった金額)より低くなり、想定より収入の多い人が支給対象となるケースが見られたため、それを是正するための計算変更となります。

実質的には支給対象に大きな変更はないのですが、これまでふるさと納税などを利用することで支給対象となっていた人は、令和2年7月以降は支給対象から外れたり、金額が変わる可能性があるので注意が必要です。

実際のところ、学費はどれくらいかかるのか?(高校の場合)

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学費がどれくらいかかるのか、様々な統計から分析する第二弾は高校編です。

そもそも、高校は「授業料の無償化」が行われているのではないのかと考える人もいるかもしれませんが、実際はそれほど単純な話ではありません。

高校に通う場合の学費は、公立高校と私立高校とで大きく違いますし、授業料以外、また学校以外の支出も大きな金額になります。より幅広く、高校在学中に必要な費用を見ておきましょう。

公立高校の学費

ここでは、文部科学省が公表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」のデータをご紹介します。

この調査では、幼稚園から高校まで公立と私立の別で、教育関係の費用が一年間にいくらかかったのか、その平均を計算しています。

これによれば、平成30年度に公立高校に通う高校生の学習費の総額は457,380円、そのうち学校教育費が280,487円、学校外活動費が176,893円となっています。

学校教育費の内訳

学校教育費とは、学校に通って教育を受けるために必要な費用のことです。

学校に支払う授業料だけでなく、制服などの学用品を購入するための費用や修学旅行などの学校活動に必要な費用も含まれます。

学校教育費の内訳を見てみると、通学関係費79,432円、学校納付金等55,360円、図書・学用品・実習材料費等41,258円、教科外活動費40,427円となっています。

授業料などとして学校に支払う金額より大きいのが、学校に通学する際にかかる定期代などの交通費ということになります。

この調査では、学校教育費の4分の1以上をしめるという結果になっています。

この通学にかかる支出というのは、意外に盲点となっている可能性があります。

なお、国公立高校に通う場合、高等学校等就業支援金制度により118,800円が支給されます。この金額であれば、学校に支払う授業料の全額が賄える計算となります。

学校外活動費の内訳

学校外活動費として最も大きな支出となるのは、学習塾や習い事の費用です。

公立高校に通う場合、自宅学習や塾、家庭教師などに支払う補助学習費は14.8万円、習い事などに支払うその他の学校外活動費が3.0万円となっています。

特に高校生の場合は、大学受験などを控えているため、習い事よりも学習塾に支払う金額が大きくなる傾向にあります。

その中でも、難関大学などの受験を考えている場合には、補助学習費の金額はもっと大きくなることが考えられます。

私立高校の学費

それでは、私立高校に通う場合の学習費はいくらくらいになるのでしょうか。

先ほど紹介した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によれば、全国にある高校のうち私立高校の割合は30.5%、私立高校に通う生徒の割合は33.0%とのことです。

地域差が大きいとは思いますが、ほぼ3分の1の高校生が私立高校に通っていることとなるのです。

私立高校に通う高校生の学習費の総額は969,911、そのうち学校教育費が719,051円、学校外活動費が250,860円となっています。

学校教育費の内訳

私立高校に通う高校生の学校教育費の内訳は、授業料230,026円、学校納付金等215,999円、通学関係費114,043円となっています。

授業料と学校納付金等を合わせた金額は、公立高校の約8倍、学校教育費全体では公立高校の約2.5倍となっていることが分かります。

なお、私立高校に通う場合、高等学校等就業支援金制度により支援金が支給されますが、それでも授業料が実質無償となるケースとそうでないケースがあります。

学校外活動費の内訳

私立高校に通う高校生の学校外活動費の内訳は、自宅学習や塾、家庭教師などに支払う補助学習費が19.4万円、習い事などに支払うその他の学校外活動費が5.7万円となっています。

私立高校の場合、学校が授業以外にもよく面倒をみてくれるため、学校以外に支払う金額は少なく済むなどと言われることもありますが、必ずしもそのとおりではない調査結果となりました。

もっとも、私立高校に関しては学校によって教育内容や学費に差があるため、この平均額を参考にならないケースもあります。実際に進学を考える場合には、学校ごとの実態を調べる必要があります。

在学中にかかる総額

この統計とは別に、日本政策金融公庫が調査した「令和元年度『教育費負担の実態調査結果』」では、高校や大学の在学期間中にかかる費用を調べています。

この調査では、公立高校と私立高校の別になっていませんが、高校入学から卒業までの3年間の費用の総額は以下のとおりです。

  • 入学費用(受験費用、学校納付金、入学しなかった学校への納付金の合計)
    30.3万円
  • 在学費用(学校の授業料、通学費、教科書代など+塾の月謝など)72.8万円
  • 3年間の総額248.7万円

最初に見た文部科学省の統計の金額を、公立・私立の別にせず平均値を求めると、日本政策金融公庫の統計にある在学費用に近い金額になります。

これに、高校入学にかかる費用を加えれば、おおよそ同じくらいの金額になるといえるでしょう。

高校在学のための教育費も負担は大きい

大学に通うために必要な教育費については、かなり早い段階から準備していることが多いのですが、高校に通うための費用についてはあまり考えていないという人が多いと思います。

しかし、このような統計を見てみると、高校に通う3年間の支出はかなりの金額になることが分かります。

高校については授業料の無償化が実施されるなど、負担が少なく済むようにも思われますが、実際には授業料以外の金額の方が大きく、家計にとって大きな負担になることは変わりがありません。

学資保険に入る際には、15歳になって高校に入学する前に保険金を受け取るようなプランを検討しておくのも、このような支出に対する備えとなるでしょう。

実際のところ、学費はどれくらいかかるのか?(大学の場合)

学資保険に加入する人の多くは、子供が産まれてすぐのタイミングで学資保険に入ろうかと検討を始めると思います。

ところがこの時に困るのは、どれくらいの保険に入ればいいのか分からない、つまりどれくらいの教育資金を準備すればいいかが分からないということです。

教育費にどれくらいお金をかけるのかは人によって違うため、教育費がいくらくらい必要かを考えるのは非常に難しい問題です。

そこで、まずは最も学費がかかる大学に4年間通う場合、どれくらいの学費がかかるのか、様々な統計からまとめてみました。

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大学に支払う学費など(国立大学の場合)

国立大学の授業料は、大学や学部の違いに関係なく「標準額」が定められています。文部科学省HP「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、平成30年度入学者の国立大学授業料(標準額)は1年間で535,800円となっています。

また、平成30年度入学者の入学料は282,000円となっています。

そのため、国立大学に4年間通う場合の入学料+授業料は2,425,200円となります。また、医学部など6年間通う場合の入学料+授業料は3,496,800円となります。

ただし、国立大学の学費を考える際に気をつけなければならない点があります。

①標準額より高い授業料となっている大学がある

標準額という名前のとおり、国立大学の授業料は一律ではありません。授業料について、最大で標準額の2割増とすることができます。

2020年4月入学の入学者については、東京工業大学東京芸術大学千葉大学一橋大学がそれぞれ標準額の2割増(1年間で642,960円)となっています。

4年間の入学料+授業料は2,853,840円となり、42万円ほど高くなります。

今後、標準額より高い授業料とする大学が他にも現れる可能性は十分にあります。

②授業料(標準額)や入学料が今後値上がりする可能性がある

国立大学の授業料や入学料は、この先もずっと変わらないわけではありません。

授業料については、平成17年度入学者について現在の金額になってから15年ほど変わっていません。また、入学料については平成14年度入学者から変わっていません。しかし、それ以前は授業料も入学料も、2年ごとにその額が上昇していました。

国立大学の授業料(標準額)がこの先、どのタイミングでいくらになるかは分かりません。まして、これから18年ほど先の学費について誰も予測することは出来ないのです。

大学に支払う学費など(公立大学の場合)

近年、公立大学の数が増加しています。

その理由は、特色のある教育を行う大学を作ることで、地元はもとより全国から若い学生を集めようとする場合や、私立大学(多くの場合は公設民営)として設立されたものの、経営が苦しいために公営化された場合などがあります。

公立大学の授業料は、学校によって異なります。また、設立した自治体出身の学生とそれ以外の学生で差が付けられているケースがほとんどです。

文部科学省HP「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、平成30年度入学者の公立大学平均授業料(地域外からの入学者)は538,633円、平均入学料は393,618円となっています。地域内からの入学者であれば、この金額より若干安い金額となります。

この平均額で4年間の入学料+授業料を計算すると、2,548,150円となります。6年間で計算すると、3,595,416円となります。

国立大学と比較すると、授業料には大きな差がない一方で、入学料は10万円以上高い結果となっています。

主な公立大学の入学料と授業料の金額

東京都立大学

入学料は282,000円(東京都の住民は141,000円)、授業料は年間520,800円

大阪市立大学

入学料は382,000円(大阪市の住民は222,000円)、授業料は年間535,800円

名古屋市立大学

入学料は332,000円(名古屋市の住民は232,000円)、授業料は年間535,800円

国際教養大学

入学料は423,000円(秋田県の住民は282,000円)、授業料はⒷ年間696,000円

大学に支払う学費など(私立大学の場合)

私立大学の学費は学校によって千差万別です。

平均金額などおおまかな傾向を知ることはできますが、本来は学校ごとにその金額を調べなければなりません。

ただ、実際にどの大学に行くのか分からない状況では個別の金額を使って比較することにあまり意味はないため、目安となる平均額を知っておくことは重要です。

文部科学省が公表した「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」では、私立大学に入学した場合の平均額が公表されています。

これによれば、平成30年度の私立大学授業料平均額は904,146円、入学料は249,985円、施設設備費は181,902円となっており、初年度学生納付金は1,336,033円となっています。(私立大学581校の集計)

授業料は国立大学の標準額に対して37万円ほど高くなっている一方で、意外にも入学料は私立大学の方が国立大学より3万円ほど低くなっています。

また、施設設備費は国立大学では発生しないため、純粋に私立大学の方が高くなる要因となっています。

ちなみに、授業料と施設設備費は4年間必要となるため、私立大学に4年間通う際に必要な学費は平均で4,594,177円となります。

主な私立大学の入学料と授業料の金額

早稲田大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり法学部は960,000円、政治経済学部は999,000円、基幹理工学部創造理工学部先進理工学部は1,446,000円となっています。

また、他に設備費等が学部により4,000円~103,000円かかります。

慶応義塾大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり文学部・経済学部・法学部・商学部は在籍基本料+授業料+施設設備費の合計で1,140,000円、理工学部は在籍基本料+授業料+施設設備費+実験実習費で1,660,000円、医学部は在籍基本料+授業料+施設設備費+実験実習費で3,640,000円となっています。

同志社大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり文学部・社会学部・法学部・経済学部・商学部などは授業料+教育充実費の合計で1,019,000円、理工学部は授業料+教育充実費+実験実習料の合計で1,476,000円~1,534,000円となっています。 

以上の3大学を見ても分かるように、その金額は大学によって様々です。また、同じ大学でも学部によって異なります。

一般的には文系学部より理系学部が高くなります。特に医学部や歯学部、薬学部などは他の学部とは桁違いに高くなるため、この方面を考えている場合には、個別にチェックしておく必要があります。

学校に支払う費用以外にもお金がかかる

大学に進学する際には、自宅から通うことができす下宿する人も多いと思います。

下宿することとなれば、学校に支払う学費などとは別に多くの支払いが発生することとなります。

大学の所在地によりかかる費用は大きく異なるほか、個人差も大きいため、あくまで参考として考えてください。

ご紹介するのは、日本政策金融公庫が公表した令和元年度「教育費負担の実態調査結果」に掲載されている金額です。

これによれば、大学などに入学するためアパートの敷金や家財道具の購入費など、自宅外通学を始めるための費用は入学者1人あたり平均39.1万円となっています。

また、自宅外通学者への仕送り額は年間平均102.3万円、月額8.5万円となっています。

これらを使って大学4年間に必要な金額を計算すると、その額は448.3万円となります。

もちろん、この額は東京都内など家賃の高い地域に住むほど高くなります。

また、この統計の金額はあくまで“仕送り額”ですから、実際に必要な生活費はこれより大きな金額になるはずです。

単純計算では4年間の学費+仕送りで900万円超え!

以上の統計から、学費(入学料+授業料+施設設備費)と生活費のための仕送りの金額を4年間合計した金額は以下のようになります。

  • 国立大学・自宅外の場合 約690万円
  • 公立大学・自宅外の場合 約703万円
  • 私立大学・自宅外の場合 約907万円

下宿して大学に通う場合は、親が仕送りをする必要があるため、国公立大学に通う場合でも必要な金額は高額になります。

こうしてみると、「自宅から通える大学にしてくれ」と親が言うのも無理はないのですね。

(私もそうでした。今度は自分の子供がどのような進路に進むのか、冷や汗ものです・・・)

 

学資保険に入らなくても大丈夫!教育資金一括贈与の特例とは?

子供の教育資金をどのように準備するかは、マイホームの購入資金や老後資金の確保と並んで、人生において非常に大きなテーマです。

学資保険を利用すれば、長い時間をかけて教育資金を準備することができます。ただ、保険料の支払いは長期間にわたって家計にのしかかるのです。

もしあなたが親や祖父母から教育資金の援助を頼みたいと考えているのであれば、教育資金一括贈与の特例制度についても知っておくべきです。

どのような要件になっているのか、そしてどのような人が利用すると有効なのか解説していきます。

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 教育資金の一括贈与の特例の概要

教育資金の一括贈与の特例は平成25(2013)年4月1日に始まった新しい制度です。

現金をたくさん持っている(といわれている)高齢者世代から、一定の要件のもと教育資金を若い世代に贈与しても贈与税がかからないようにして、教育費の支払に苦労する若い世代を助けるとともに、資金の世代間での移動を促すねらいがあります。

非課税となる税制上の特例には多くの要件があるため、その要件を満たしているかどうかを確認しておきましょう。

教育資金一括贈与の特例を受けられる人(贈与する人)

贈与する人(贈与者)の要件は、特にありません。贈与者には、所得金額、年齢などによる線引きはないため広く利用することができます。

しいて言えば、贈与を受ける人の直系尊属であることですが、通常の贈与でも直系尊属以外からの贈与はほとんどないため、普通の贈与をイメージしておけば大丈夫といえるでしょう。

直系尊属に該当しないケースとして1つ気を付けなければならないのは、配偶者の父母や祖父母からの贈与は該当しないことです。もっとも、教育資金一括贈与を利用する際にはあまり考慮する必要がないと思います。

教育資金一括贈与の特例を受けられる人(贈与を受ける人)

贈与を受ける人(受贈者)には重要な要件が2つ設けられています。

  • 贈与の契約を行う日において30歳未満である
  • 贈与を受ける年の前年分の合計所得金額が1,000万円以下である

教育資金に関する贈与ですから、通常はこれから高校・大学に進むような子供に対する贈与をイメージする人が多いと思います。しかし、制度上は30歳未満であればこの特例を利用することができます。

確かに、大学や大学院に進む年齢に制限はないため、特例の対象を子供に限らないことには意味があります。ただし、一方でこの制度が「相続税逃れ」に利用されるケースもあることから、受贈者が23歳を超えると一定の制約が設けられています。

それは、贈与者が亡くなった時の取扱いです。
贈与者が亡くなった日の前3年以内に教育資金一括贈与の特例を行っている場合において、①受贈者が23歳未満である場合、②受贈者が学校等に在学している場合、③受贈者が教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講している場合、のいずれにも該当しない場合には、その時点での残額が相続税の課税対象になることとされているのです。

亡くなった時点で受贈者の年齢が23歳未満であれば無条件で相続税の対象から外れます。しかし、23歳以上の場合は実際に教育を受けている要件を満たしていないと、結果的に相続税が課されるため、駆け込みでの「相続税逃れ」を防ぐものとなっています。

教育資金に含まれるもの、含まれないもの

教育資金一括贈与の特例を利用すると、贈与されたお金は教育資金にしか使うことができません。この特例の対象となる教育資金にはどのようなものがあるのでしょうか。

⑴学校等に直接支払うもの

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学(入園)試験の検定料のほか、学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費など教育を受けるのに伴って必要な支出は教育資金に含まれます。

なお「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学、大学院、専修学校各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所などをいうものとされています。

⑵学校等以外の者に支払うもの

①学習塾や水泳教室などに支払う授業料や施設の使用料、スポーツや文化芸術に関する活動や教養の向上のための指導料や、使用する物品の購入費

②学校教育を受ける際に購入する物品の購入費で学校等以外に支払うもの

③通学定期券代や留学のための渡航

非課税となる金額

教育資金一括贈与の特例で贈与税が非課税となるのは、最高で1,500万円までの贈与についてです。

ただし、「教育費に含まれるもの、含まれないもの」のうち⑵学校等以外の者に支払うものに含まれる金額については500万円までしか使うことができません。

教育資金一括贈与の特例の利用方法

⑴信託銀行等の金融機関に教育資金口座を開設し、贈与しようとしている財産を預け入れます

教育資金一括贈与の特例を利用するためには、信託銀行などの金融機関を利用しなければなりません。
税務署に対する申告書は金融機関を通して提出されます。

⑵教育資金の支払を行うために教育資金口座から払い戻しを行い、支払を行います

非課税措置の適用を受けるためには、支払の内容を証明する領収書などを金融機関に提出しなければなりません。
もし教育資金以外の用途に使った場合には、非課税の特例は適用されません。

贈与された資金が残ってしまう場合の取扱い

⑴受贈者が30歳になった日において口座に残額がある場合

残った金額について贈与があったものとされ、贈与税が課税されます。

⑵贈与者が亡くなった場合

2019年3月31日以前に贈与されたものについては、相続税の対象になりません。

一方、2019年4月1日以降に贈与されたものについては、①受贈者が23歳未満である場合、②受贈者が学校等に在学している場合、③受贈者が教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講している場合のいずれにも該当しない場合、相続税の課税対象になります。

どういう人が教育資金一括贈与の特例を利用するといいのか

ここまで教育資金一括贈与の概要を確認してきました。それでは、実際にどのような人がこの制度を利用するといいのでしょうか。

高齢の祖父母や曾祖父母からの贈与

高齢の祖父母や曾祖父母から贈与を受けることで、まとまった教育資金を確保することができます。

本来、祖父母や曾祖父母が教育資金を支出することは贈与ではありません。この制度を利用しなくても必要な都度支払うのであれば、教育資金を無税で支出することはできます。しかし、教育資金のためであったとしても、実際に使う前に渡しておく場合は贈与税の対象となってしまいます。

高齢の祖父母や曾祖父母の場合、孫や曾孫が実際に教育資金が必要になる時まで生きているか分かりません。また、通常は孫や曾孫には相続権はないため、教育資金を確保することができないかもしれません。だとすれば、祖父母や曾祖父母が亡くなった時に相続税が課税される可能性はありますが、教育資金を確実に確保するための手段としては有効です。

ほかに相続人がいる場合

中学生の子供に対する教育資金をこれまでその祖父が支払っていたとします。その祖父が亡くなったとしても、祖父の財産を祖父の子供である中学生の父が相続すれば、引き続き教育資金の支払は滞ることなく、問題は発生しません。

しかし、父の兄弟などほかに相続人がいると、教育資金の原資となる財産を他の相続人と分けなければならなくなります。そうなると、相続後に祖父の財産から教育資金を支払うことはできなくなります。

もし、祖父の財産の一部を教育資金として先に確保しておくことができるのであれば、将来の教育資金の支払に困ることのないよう、教育資金一括贈与の制度を利用することが有効なのです。

教育資金一括贈与の特例を使う必要のない人とは

それでは、逆に教育資金一括贈与を利用することがあまり効果的とはいえないケースには、どのようなものがあるでしょうか。

教育費をその都度払うことができると思われる人

教育資金を必要な時にその都度支払う場合、贈与税の課税対象とはなりません。今後も孫のために教育費を支払い続けることができるのであれば、教育資金一括贈与の制度を使う必要はありません。

自分の老後資金に不安がある人

孫のためと思って、それまで貯めてきた貯金の中から教育資金一括贈与をしたとします。贈与したお金は教育資金として利用すれば贈与税はかかりませんから、孫もその親(贈与者からみた子供)も喜んでくれることでしょう。

ところが、その後自分自身の生活費に不安が生じてしまっては意味がありません。老後資金を十分に確保したうえで、どうしても使い切れない金額を教育資金一括贈与に回すくらいの考え方でないと、余裕のない生活となってしまいます。

孫の喜ぶ顔を見たいのであれば、教育資金一括贈与を利用しなくても、生きている間にできることをしてあげればそれで十分です。孫のための支出は教育資金だけとは限りません。教育資金一括贈与を利用して贈与したお金から、孫の服を購入したり誕生日のプレゼントを購入した場合は、贈与税の対象となってしまいます。

教育資金一括贈与を利用して、かえって子供や孫をガッカリさせるような結果にならないようにしましょう。

特例にも落とし穴がある?必ず事前に利用するかの確認を

ここまで、教育資金一括贈与の内容と、利用した方がいい人・利用する必要のない人について確認してきました。

最大1,500万円まで非課税で贈与できるというメリットばかりに目が行くと、そのデメリットに気付かないことがあります。そもそも教育資金の支払は課税されないこと、そして教育資金一括贈与は教育資金のためにしか使えないこと、残額は贈与税の計算対象となることなどを考慮したうえで、実際に利用するかどうかを判断しなければなりません。

また、実際にはそれだけのまとまった資金を贈与できる人は限られます。そのため、これから子供のための教育資金を確保しようとしている人は、親から贈与を受けることは難しいものと考えたうえで、学資保険など現実的な選択肢を検討する必要があるのです。

 

つみたてNISAは学資保険の代わりになりうるか?

学資保険が保険加入者にとって魅力の少ない商品になりつつあることは、以前紹介しました。

 

e-lifeplanning.hatenablog.jp

ただ、それは学資保険を教育資金を確保するための「資産運用」の手段として見た場合の考え方であり、学資保険を文字どおり「保険」であると考えれば、保障の面でほかの方法で学資を貯めるのとは大きな違いがあるということができます。

それでは、保障という保険独自の役割を抜きに考えた時、学資保険とほかの方法ではどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、つみたてNISAと学資保険の特徴やその違いを確認していきます。

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 つみたてNISAとは?

つみたてNISAとは、2018年1月から始まった証券税制上の非課税制度です。まずは制度の概要を簡単に確認しておきましょう。

つみたてNISAでは何を購入するのか

つみたてNISAを始めるには、証券会社や銀行などの金融機関に専用の口座を開設します。

その口座に毎月お金を積み立てていき、そのお金で投資信託・上場株式投資信託と呼ばれる金融商品を購入します。

投資信託から分配金が得られたり、投資信託自体の価格の上昇により、当初積み立てた金額より多くの資金を得ることを目的として行われます。

つみたてNISAは何が「非課税」なのか

通常、投資信託のような金融商品を購入すると、分配金(配当金に相当)を受けることができます。

その分配金には約20%の税金がかかり、分配金を受け取る際に源泉徴収されます。

また、投資信託を売却して譲渡益が発生した場合にも、年間の譲渡益の合計に対し約20%課税されます。

つみたてNISAで購入した投資信託については、その投資信託から受け取る分配金や、投資信託を売却して得られた譲渡益について非課税になることとされているのです。

積み立ての上限額

「つみたて」という言葉のとおり、運用資金を証券会社などに設けた非課税口座に毎月積み立てを行います。上限額は月33,333円、1年で40万円まで積み立てることができます。

非課税となる期間

非課税となる期間は積み立てを開始してから最長20年間であり、最大800万円まで非課税の枠内で運用することができます。

つみたてNISAは誰が利用できるのか

日本国内に居住する20歳以上の人であれば利用できます。

ただし、開設できる口座は1人あたり1つであること、一般NISAとの併用はできないことに注意が必要です。

つみたてNISAは解約できるのか

つみたてNISAはいつでも解約できます。非課税期間が最大20年間あることとされていますが、20年間経過しなければ解約して現金化することができないというわけではありません。

つみたてNISAが学資保険の代わりになる理由

つみたてNISAで運用して、教育資金を確保するという考え方が広まりつつあるように思われます。

どうしてつみたてNISAが教育資金の確保に有効なのでしょうか。

⑴無理なく毎月積み立てを行うことができる

これはつみたてNISAと学資保険に共通する特徴ですが、教育資金を急に用意するのは難しいため、毎月コツコツと貯めることができるのは大きなメリットてす。

つみたてNISAの場合、最大でも年間40万円とされているだけでなく、最低数千円からでも始めることができます。

余裕がない間は少なめの金額で、余裕が出てきたら多めの金額で積み立てを行うなど、ライフスタイルに合わせた運用ができるのです。

学資保険の場合、途中で保険料を変更することは保険自体の見直しをしない限り不可能なため、つみたてNISAの方が柔軟に対応できると言えます。

⑵何年後にいくら必要かという目標にあわせて利用できる

これもつみたてNISA・学資保険共通の特徴ですが、目標の年と金額を決めて、その目標に向けて毎月の支払額を決めることができます。

例えば、子供が生まれてすぐに18歳の大学進学のために300万円を貯めたいと考えるのであれば、単純計算で1年あたり17万円、毎月約14,000円の積み立てをすれば目標に到達することが分かります。

また、つみたてNISAの場合は子供が生まれる前から積み立てを開始することができます。学資保険は生まれてからでなければ加入することができないため、つみたてNISAの方が早くから教育資金を準備することができるメリットがあります。

いずれを選択する場合も、何年後にいくら貯めたいのか、その目標を明確にすることが大切です。

⑶途中解約できるため急な支出にも対応できる

つみたてNISAのように、毎月決まった金額を支払う方式の資産運用は、安定した現金収入があればそれほど問題は起こりません。

しかし、現金収入が大幅に減少したり、まったくゼロになってしまうこともないとは言えず、そのような時にどのような対応ができるかも知っておくべきです。

つみたてNISAの場合、いつでも解約することが可能です。(正しくは、解約でなくいつでも売却してやめることができる、というべきですが)

いざという時には、積み立てをストップするだけでなく、それまでに積み立てた金額を払い戻すことができるのです。

⑷運用結果が学資保険の利回りを上回る可能性が高い

学資保険の運用状況は、どこも苦戦しているといえます。世界的な超低金利政策により安定した運用先がないため、保険会社は「15年後に払い込まれた保険料を5%増やして返します」といった形で確約することが難しいのです。

また、保険としての機能もあるため、単に運用して増やしたお金をそのまま返せばいいというわけにはいきません。

その点、つみたてNISAの場合は、積み立てたお金をすべて自分で使うことができます。また、投資信託による運用は学資保険より利回りがいいと考えられるため、学資保険より多くのお金を手にすることができると考えられるのです。

忘れてはならない学資保険との違い

こうしてみると、学資保険に入るよりつみたてNISAの方が優れているように思われます。特に、普段から株式による運用を行っている人にとっては、学資保険の返戻率は信じられないほど低いと感じることもあるようです。

しかし、つみたてNISAが学資保険よりすべての面で優れているわけではありません。商品としての違いがあることから、その役割や効果にも違いが生じるのです。

⑴つみたてNISAにはいざという時の保障はない

18歳になった時に300万円を受け取るという契約で学資保険の契約をしたものとします。保険期間中に何もなければ、満期になるまで300万円近い保険料を支払って保険金を受け取ります。

しかし、その途中で保険契約者が亡くなってしまった場合、その後の保険料は負担しなくても保険金を満額受け取ることができます。これこそが、学資保険に加入している場合の最大のメリットであり、学資保険に加入する最大の理由です。

つみたてNISAの場合、いざという時にそれまで積み立てた金額を払い戻すことができます。しかし、自分で支払った金額が戻ってくるだけのことであり、運用によって幾分増加している可能性はありますが、大きな保証を得られるわけではありません。

⑵所得控除の適用はない

学資保険の保険料は、生命保険料控除(一般)の対象になるため、所得控除の計算に含めることができます。

保険の契約時期と1年間に支払った保険料に応じて、最大5万円が控除されるのです。

これに対して、つみたてNISAのために積み立てた金額は所得控除の対象になりません。

減税となった金額は、実質的には利回りを得たのと同様の効果があるため、表面的な返戻率だけで判断しないことが重要です。

⑶つみたてNISAを利用すると一般NISAが利用できなくなる

つみたてNISAによく似た制度に、一般NISAと呼ばれるものがあります。この一般NISAは、投資信託以外の個別株なども購入できる非課税口座であり、年間120万円まで投資が可能となっています。

この一般NISAとつみたてNISAは併用できません。そのため、いずれかを選択して利用することとなります。

つみたてNISAを教育資金のために利用すると、それ以外の目的で非課税口座を利用することができなくなってしまうのです。

まずは学資保険とつみたてNISAの違いを知ろう

『学資保険よりもつみたてNISAの方が運用成績が良いため、教育資金を貯めるならつみたてNISAに限る』という考え方は本当に正しいのでしょうか。

最終的には学資保険の保険としての価値をどのように考えるかによるため、人によってその結論は異なると思います。

学資保険はどのようなルールになっているのか、つみたてNISAはどのようなメリット・デメリットがあるのか、もう一度よく考えてみる必要があると思います。

また、学資保険について詳しく知りたいという方は、専門家に相談してみるのもいいでしょう。

 

あらゆる中小企業がテレワークを始められるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大による影響を考慮した「緊急経済対策」が令和2年4月7日に公表されました。

すでに給付金の支給などで話題になっているため、その内容をご存知の方もいるかと思います。

個人的にツッコミどころだな、と思っている内容がいくつかありましたが、今回はその中の1つについて書いていきます。
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企業は今すぐにでもお金が必要なのに・・・

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言などの影響で、企業活動はほとんどの業種で影響を受けています。

飲食業やホテルをはじめとする観光関連の産業に限らず、建設業や製造業も、はじめは中国などからの輸入が滞ったため、そしてこの先は消費の停滞の影響を受けて、かなり売上が減少すると予想されます。

しかし、そのような中でも従業員の給料を支払わなければならないため、手許に現金が必要です。これまでコツコツと貯めてきた現金はこの先、近いうちに底をつくかもしれません。

今、企業にできることは、少しでも節約して支出を抑えること、そして金融機関や取引先と交渉して少しでも支払いを先延ばしにすることです。

貴重な財源を設備投資した企業の減税に使うのか?

そんな中、「緊急経済対策」にはテレワークなどの設備投資を行った事業者に対する税制措置が盛り込まれています。

テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(経済産業省総務省厚生労働省農林水産省国土交通省

どのような施策が行われるのか詳細は分かりませんが、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも新規に設備投資を行う中小企業者等を支援する」としています。

これからテレワークのための設備投資を行えば、その後の税負担が軽減されるという内容になるのでしょう。

中小企業や小規模事業者は何に困っているのかまるで分かっていない

はっきり言いますが、コロナウイルスの影響で売り上げが減少し、従業員の雇用確保も難しいという状況では、会社の現金はあっという間に減ってしまいます。そんな中で、貴重な現金を設備投資に回す余裕はありません。テレワークのための設備投資を今すべきではないのです。

それなのに、テレワークのための設備投資を行ったら減税になるとは、いかにも現場を知らない人たちの発想だと思います。

この減税措置を利用できるのは、本当に資金繰りが苦しくて困っている中小企業ではなくて、資金的に余裕があってちょうどテレワークを導入しようと考えていた中小企業になるのだろうと思います。