税理士FPの日々鍛錬 ~go my way~

税理士でもあるFPが日々考えていることを書きます

あらゆる中小企業がテレワークを始められるのか?

新型コロナウイルスの感染拡大による影響を考慮した「緊急経済対策」が令和2年4月7日に公表されました。

すでに給付金の支給などで話題になっているため、その内容をご存知の方もいるかと思います。

個人的にツッコミどころだな、と思っている内容がいくつかありましたが、今回はその中の1つについて書いていきます。
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企業は今すぐにでもお金が必要なのに・・・

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言などの影響で、企業活動はほとんどの業種で影響を受けています。

飲食業やホテルをはじめとする観光関連の産業に限らず、建設業や製造業も、はじめは中国などからの輸入が滞ったため、そしてこの先は消費の停滞の影響を受けて、かなり売上が減少すると予想されます。

しかし、そのような中でも従業員の給料を支払わなければならないため、手許に現金が必要です。これまでコツコツと貯めてきた現金はこの先、近いうちに底をつくかもしれません。

今、企業にできることは、少しでも節約して支出を抑えること、そして金融機関や取引先と交渉して少しでも支払いを先延ばしにすることです。

貴重な財源を設備投資した企業の減税に使うのか?

そんな中、「緊急経済対策」にはテレワークなどの設備投資を行った事業者に対する税制措置が盛り込まれています。

テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(経済産業省総務省厚生労働省農林水産省国土交通省

どのような施策が行われるのか詳細は分かりませんが、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも新規に設備投資を行う中小企業者等を支援する」としています。

これからテレワークのための設備投資を行えば、その後の税負担が軽減されるという内容になるのでしょう。

中小企業や小規模事業者は何に困っているのかまるで分かっていない

はっきり言いますが、コロナウイルスの影響で売り上げが減少し、従業員の雇用確保も難しいという状況では、会社の現金はあっという間に減ってしまいます。そんな中で、貴重な現金を設備投資に回す余裕はありません。テレワークのための設備投資を今すべきではないのです。

それなのに、テレワークのための設備投資を行ったら減税になるとは、いかにも現場を知らない人たちの発想だと思います。

この減税措置を利用できるのは、本当に資金繰りが苦しくて困っている中小企業ではなくて、資金的に余裕があってちょうどテレワークを導入しようと考えていた中小企業になるのだろうと思います。