税理士FPの日々鍛錬 ~go my way~

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副業で得た収入は税金がかかる?かからない?

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サラリーマンとして、本業で収入を得る一方で、副業でもある程度まとまった収入があるという人もいるのではないでしょうか。
特に2020年は、新型コロナの影響で本業に大きな影響が出て、収入がマイナスとなる人がいました。
また、会社に出社することができず、リモートワークとなるケースもあり、思いどおりに仕事ができない状況となった方も多くいたかと思います。

そのような中で、少しでも収入を増やすために副業を行った方もいるのではないでしょうか。
しかし、副業で得た収入は、本業の会社から支給された給料のように、年末調整が行われていません。
そこで、副業で得た収入については自分で税金の計算を行う必要があります。

この税金の計算を行うのが、確定申告なのです。

 サラリーマンで確定申告が必要な場合

サラリーマンのような給与所得者は、通常は勤務先で年末調整を受けるため、自分で確定申告を行う必要はありません。

しかし、サラリーマンの中でも確定申告が必要な人については、しっかりと国税庁のホームページに明記されています。

www.nta.go.jp

給与所得者は確定申告が必要ないことを前提としつつも、以下の要件に該当する場合は、必ず確定申告をしなければならないのです。

  1. (略)
  2. 1か所から給与の支払いを受けており、給与所得(及び退職所得)以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
  3. 2か所以上から給与の支払いを受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得(及び退職所得)以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
  4. (以下略)

確定申告が必要な人のうち、副業をしている人に関係する可能性がある項目を抜き出しました。

多くの人が、この2つのパターンにあてはまるかどうかで、頭を悩ませることとなるのです。

メインの収入が1つの会社から給与を支給される人(2.の場合)

2.の内容は、副業をしているサラリーマンの方に最も多いケースだと思います。
毎月1つの会社から給与を支給される一方、給与以外の方法で副業の収入を得ている場合です。

このポイントは、①メインの収入が1つの会社から支給される給与であること、そして②副業の所得が給与所得でないこと、③所得金額が20万円以下であることの3点です。

まず①ですが、メインの収入について1つの会社から支給される給与であれば年末調整の計算が行われているため、特別な理由がなければ確定申告は必要ありません。
大部分の所得金額については、すでに税金の計算が終わっていることが前提となるのです。
そのため、たとえば年の途中で転職して実際には2つ以上の会社から給与をもらっている場合でも、年末に在籍していた会社ですべてを含めて年末調整を行っているのであれば、①の要件は満たします。

次に②ですが、もし副業により得た所得が給与所得に該当する場合は、3.の内容により確定申告の要否を判定する必要があります。
給与所得に関しては、そのすべてが年末調整により税額が精算されていることが前提となっているのです。

最後に③ですが、所得金額が20万円以下であっても、本来は税額が発生します。
しかし、納税者にとっての確定申告の手間や、税務当局にとっての事務の手数を考慮して、20万円以下であれば申告不要となっているものと考えられます。
したがって、20万円という金額については、合理的な理由はありません。

なお、所得金額の考え方は「収入金額-必要経費」であり、単に売上金額や手取金額で判定するものではありません。
特に商品を仕入れて売っている場合には、その差額が所得金額の基礎となるため、間違えないようにしましょう。

2つ以上の会社から給与を支給される人(3.の場合)

2か所以上の勤務先から給与を支給されている人については、そもそも、その給与のうち年末調整を受けているのは、1番メインとなる勤務先からの給与だけのはずです。
そのため、年末調整を受けた給与と、年末調整を受けていない給与について分けて考える必要があります。

そのうち、年末調整を受けていない給与の収入金額と、給与所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合には、確定申告をしなければなりません。
この場合、2か所目以降の給与については、給与収入の金額で判定することとなります。
本来、給与についても給与の収入金額と所得金額は異なるのですが、確定申告の要否のを判定する際、給与については給与所得ではなく給与収入の金額で判定するのです。

確定申告をしないとどうなる?

それでは、確定申告をしなかった場合、どのようなことになるのでしょうか。

結論から言えば、通常納めるべき所得税について納めるだけでなく、ペナルティとして追加の税額を納付しなければならなくなります。

たとえば、無申告加算税が科された場合、納付した税額の15%~20%の追徴税額が発生します。

また、延滞税が科された場合、銀行の利息とは比べ物にならないくらい高い率の利息計算が行われます。

結果的に、本来納めるべき税額に加えて、このようなペナルティの税額も納める必要があるため、大きな負担となるのです。 

確定申告しなくてもバレないんじゃないの?という疑問に対する答え

確定申告をしたくないと考える人の中には、確定申告をしなくてもバレないのでは、という考えが頭をよぎる人がいるかもしれません。
しかし、この考え方は非常に危険な考え方と言わざるを得ません。

金銭を受け取った人が申告するかどうかに関係なく、金銭を支払った会社や事業者は、その事実を税務署や市町村に報告しなければならないこととされているものがあります。

たとえば、従業員に対して支払った給料については、その従業員が住む市町村役場に対して、1年間に誰にいくら支払ったかを報告します。
また、報酬を支払った場合には、その会社や事業者の管轄の税務署に、1年間に誰にいくら支払ったかを記載した支払調書を提出します。
このような書類を提出している以上、税務署としても申告漏れを無視することはできないのです。

また、最近ではこのような書面だけでなく、税務署がフリマアプリやSNSなどの動きに目をつけているとも言われます。
多額の売買を行っている人については、確定申告が行われているのか、確認しているのです。
副業に限らず、様々な事業の形がある中で、税務署の目もまた、様々な方向に目を光らせているのです。