税理士FPの日々鍛錬 ~go my way~

税理士でもあるFPが日々考えていることを書きます

高専に入学するのはどれくらい大変なのか?

公立高校、私立高校に続く第三の選択肢となるかということで注目してきた高等専門学校高専)について、引き続き調べていきます。

学費を考えると、国公立の高専には大きな魅力があります。ただ、高専に入るのがどの程度大変なのか、そして高専を卒業した後、どのような進路に進むのかを知らなければ、積極的に勧めることはできません。

そこで今回は、高専に入学する際の難易度について調べてみました。

高専の入学偏差値は国公立は高め、私立は低め

高専の入学に関する情報は、大学の情報ほど多くありふれているわけではありません。そのため、わずかな情報からその傾向を分析する必要があります。

ここでは、「みんなの高校情報」を参照して、高専の入学偏差値のランキングをご紹介します。

www.minkou.jp

まずは偏差値が65を超える学校を紹介します。

偏差値65超の学校

高専については、大学のように学校名でその学校の傾向や特色を判断できるほど、多くの知識や情報を持っている人は少ないと思います。また、この入学偏差値が高いから優秀な学校というわけでもないと思います。

しかし、ここにあげられた学校に入るには、かなり過酷な受験勉強が必要になると考えられ、入試に向けた準備が必要になります。

上位にあげた学校の一覧を見て気付くのは、①すべて国立であること、②すべて工業高専であること、そして③西日本の学校が多いことです。①と②については、一覧表を作る前から何となく気付いていましたが、③についてはまったく予想外でした。

上位13校にあげた学校の中で、東日本にあるのは群馬工業高等専門学校くらいです。この傾向については、明確な説明はできません。

そこで私の勝手な推測ですが、東京都や神奈川県・千葉県・埼玉県などは、中学受験が盛んな地域であり、中学校卒業後に進学する高専が有力な進学先になりにくいこと、そして高校から東京の有名私大に進むことが費用面でそれほど大きな負担にならないことが関係しているのではないかと思います。あるいは、西日本に就職先となる企業が比較的多く立地しているといったことも考えられます。

偏差値61~65の学校

ここでは、全部で30校・キャンパスが登場しました。偏差値60を超える学校は、全部で43校・キャンパスにのぼることとなります。

ここまでに登場した学校・キャンパスのうち、40が国立、3つが公立です。また、すべてが工業高専であり、商船高専はありません。高専の人気は、国公立・工業に偏っていることが分かります。

偏差値60以下の学校

下位にあたるとは言っても、米子工業高等専門学校あたりまでは偏差値60前後ですから、それほど大きな違いはありません。

一方で、近畿大学工業高等専門学校以下には、私立及び商船高専がズラリと並んでいます。私立は学費が高いこと、商船高専は工業高専より専攻分野が狭いことが、このような結果になっていると考えられます。

ただ注意が必要なのは、偏差値が低い学校であっても進学や就職実績には支障がないような質の高い教育を行っている学校がいくつもあることです。偏差値が低い学校は、比較的簡単に入れる一方で、その実績は高いため、お得な学校といえるのかもしれません。

推薦入試の条件はどうなっているのか

高等専門学校には、学科試験による一般入試のほか、中学校の成績などを用いて判定する推薦入試もあります。

推薦入試は、中学校生活でコツコツと頑張ってきた人が受験資格を得ることができるものであり、試験間際に対策をしてどうにかなるものではありません。逆に言えば、日頃から努力をしてきた人であれば、推薦入試により高専に入学することも可能なのです。

国立高専の推薦入試については、明確に出願条件が定められています。令和4年度の学生募集要項からその条件や募集人員などを確認していきます。

工業高専A

募集人員 定員の50%程度

出願資格 学習点252以上(9教科5段階評定を1年生と2年生は2倍、3年生は3倍した数の合計)

工業高専B

募集人員 定員の50%

出願資格 9科目の3年間の評定(5段階評価)の合計が108以上

工業高専C

募集人員 定員の50%

推薦の目安 5段階評定において9教科の評点が3以上かつ2学年及び3学年のいずれについても9教科の評点総計が32以上

工業高専D

募集人員 定員の50%

出願資格 次の①か②のいずれかを満たす者
①2学年及び3学年(2学期又は前期)の5段階評価の9教科の評定の合計が77以上
②2学年及び3学年(2学期又は前期)の5段階評価の9教科の評定の合計が73以上で部活動や生徒会、ボランティア活動などの実績がある

商船高専E

募集人員 体験学習選抜と推薦選抜をあわせて入学定員の85%以内

出願資格(特別推薦) 2学年と3学年における9科目の評定の総計が5段階評価で72以上かつ全科目において評定が3以上

※商船学科については、視力や色覚、聴力、体格に関する基準を満たす必要があります

商船高専F

募集人員 入学定員の50%

出願資格 3学年における5段階評価の評定が商船学科は9教科合計で32以上、商船学科以外は5教科合計20以上かつ9教科合計32以上

こうしてみると、学校によって出願資格が微妙に異なることが分かります。中学校3年間のすべての成績を使う学校もあれば、3年生の成績だけを使う学校もあります。

また、どれだけの評定が必要とされるかは学校によって明確にされているため、その基準にあった学校を選ばなければなりません。

公立高専は地域に注意

公立高専は全国に3校しかありません。入試に関する詳しい情報は、各学校のホームページなどで確認するしかありませんが、その際、注意点があります。

公立高専は、自治体がその自治体に住む生徒の進学先として整備し、公金を投入しているという背景があるため、入学者に対する制限が設けられている場合があるのです

東京都立産業技術高等専門学校

  • 入学料 都内在住者は42,300円、都外在住者は84,600円
  • 保護者との同居を前提としており、学生寮はない

大阪公立大学工業高等専門学校

  • 大阪府在住者のみ(専攻科は府外在住でも可)

神戸市立工業高等専門学校

  • 入学金 神戸市住民は28,200円、神戸市住民以外は84,600円
  • 寮施設はなし

入学自体は制限されていなくても、寮がなければ遠方から通うのであれば、毎日の通学に無理はないか、確認しておかなければなりません。

高専に入るためには早めの対策と準備が重要

高専の入学時偏差値は、特に国公立・工業で高くなります。そのため、高専に進学を希望するのであれば、早い段階で高専の入試を意識した準備が必要になるでしょう。

また、推薦入試の制度がありますが、こちらは日々の積み重ねが大きくものを言います。中には、1年生からの成績で推薦入試の受験資格を設けている学校もあるため、その学校ごとの条件を確認し、早めの対策をしておきましょう。

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