税理士FPの日々鍛錬 ~go my way~

税理士でもあるFPが日々考えていることを書きます

実際のところ、学費はどれくらいかかるのか?(大学の場合)

学資保険に加入する人の多くは、子供が産まれてすぐのタイミングで学資保険に入ろうかと検討を始めると思います。

ところがこの時に困るのは、どれくらいの保険に入ればいいのか分からない、つまりどれくらいの教育資金を準備すればいいかが分からないということです。

教育費にどれくらいお金をかけるのかは人によって違うため、教育費がいくらくらい必要かを考えるのは非常に難しい問題です。

そこで、まずは最も学費がかかる大学に4年間通う場合、どれくらいの学費がかかるのか、様々な統計からまとめてみました。

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大学に支払う学費など(国立大学の場合)

国立大学の授業料は、大学や学部の違いに関係なく「標準額」が定められています。文部科学省HP「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、平成30年度入学者の国立大学授業料(標準額)は1年間で535,800円となっています。

また、平成30年度入学者の入学料は282,000円となっています。

そのため、国立大学に4年間通う場合の入学料+授業料は2,425,200円となります。また、医学部など6年間通う場合の入学料+授業料は3,496,800円となります。

ただし、国立大学の学費を考える際に気をつけなければならない点があります。

①標準額より高い授業料となっている大学がある

標準額という名前のとおり、国立大学の授業料は一律ではありません。授業料について、最大で標準額の2割増とすることができます。

2020年4月入学の入学者については、東京工業大学東京芸術大学千葉大学一橋大学がそれぞれ標準額の2割増(1年間で642,960円)となっています。

4年間の入学料+授業料は2,853,840円となり、42万円ほど高くなります。

今後、標準額より高い授業料とする大学が他にも現れる可能性は十分にあります。

②授業料(標準額)や入学料が今後値上がりする可能性がある

国立大学の授業料や入学料は、この先もずっと変わらないわけではありません。

授業料については、平成17年度入学者について現在の金額になってから15年ほど変わっていません。また、入学料については平成14年度入学者から変わっていません。しかし、それ以前は授業料も入学料も、2年ごとにその額が上昇していました。

国立大学の授業料(標準額)がこの先、どのタイミングでいくらになるかは分かりません。まして、これから18年ほど先の学費について誰も予測することは出来ないのです。

大学に支払う学費など(公立大学の場合)

近年、公立大学の数が増加しています。

その理由は、特色のある教育を行う大学を作ることで、地元はもとより全国から若い学生を集めようとする場合や、私立大学(多くの場合は公設民営)として設立されたものの、経営が苦しいために公営化された場合などがあります。

公立大学の授業料は、学校によって異なります。また、設立した自治体出身の学生とそれ以外の学生で差が付けられているケースがほとんどです。

文部科学省HP「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、平成30年度入学者の公立大学平均授業料(地域外からの入学者)は538,633円、平均入学料は393,618円となっています。地域内からの入学者であれば、この金額より若干安い金額となります。

この平均額で4年間の入学料+授業料を計算すると、2,548,150円となります。6年間で計算すると、3,595,416円となります。

国立大学と比較すると、授業料には大きな差がない一方で、入学料は10万円以上高い結果となっています。

主な公立大学の入学料と授業料の金額

東京都立大学

入学料は282,000円(東京都の住民は141,000円)、授業料は年間520,800円

大阪市立大学

入学料は382,000円(大阪市の住民は222,000円)、授業料は年間535,800円

名古屋市立大学

入学料は332,000円(名古屋市の住民は232,000円)、授業料は年間535,800円

国際教養大学

入学料は423,000円(秋田県の住民は282,000円)、授業料はⒷ年間696,000円

大学に支払う学費など(私立大学の場合)

私立大学の学費は学校によって千差万別です。

平均金額などおおまかな傾向を知ることはできますが、本来は学校ごとにその金額を調べなければなりません。

ただ、実際にどの大学に行くのか分からない状況では個別の金額を使って比較することにあまり意味はないため、目安となる平均額を知っておくことは重要です。

文部科学省が公表した「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」では、私立大学に入学した場合の平均額が公表されています。

これによれば、平成30年度の私立大学授業料平均額は904,146円、入学料は249,985円、施設設備費は181,902円となっており、初年度学生納付金は1,336,033円となっています。(私立大学581校の集計)

授業料は国立大学の標準額に対して37万円ほど高くなっている一方で、意外にも入学料は私立大学の方が国立大学より3万円ほど低くなっています。

また、施設設備費は国立大学では発生しないため、純粋に私立大学の方が高くなる要因となっています。

ちなみに、授業料と施設設備費は4年間必要となるため、私立大学に4年間通う際に必要な学費は平均で4,594,177円となります。

主な私立大学の入学料と授業料の金額

早稲田大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり法学部は960,000円、政治経済学部は999,000円、基幹理工学部創造理工学部先進理工学部は1,446,000円となっています。

また、他に設備費等が学部により4,000円~103,000円かかります。

慶応義塾大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり文学部・経済学部・法学部・商学部は在籍基本料+授業料+施設設備費の合計で1,140,000円、理工学部は在籍基本料+授業料+施設設備費+実験実習費で1,660,000円、医学部は在籍基本料+授業料+施設設備費+実験実習費で3,640,000円となっています。

同志社大学

入学料は一律200,000円です。

授業料は学部により異なり文学部・社会学部・法学部・経済学部・商学部などは授業料+教育充実費の合計で1,019,000円、理工学部は授業料+教育充実費+実験実習料の合計で1,476,000円~1,534,000円となっています。 

以上の3大学を見ても分かるように、その金額は大学によって様々です。また、同じ大学でも学部によって異なります。

一般的には文系学部より理系学部が高くなります。特に医学部や歯学部、薬学部などは他の学部とは桁違いに高くなるため、この方面を考えている場合には、個別にチェックしておく必要があります。

学校に支払う費用以外にもお金がかかる

大学に進学する際には、自宅から通うことができす下宿する人も多いと思います。

下宿することとなれば、学校に支払う学費などとは別に多くの支払いが発生することとなります。

大学の所在地によりかかる費用は大きく異なるほか、個人差も大きいため、あくまで参考として考えてください。

ご紹介するのは、日本政策金融公庫が公表した令和元年度「教育費負担の実態調査結果」に掲載されている金額です。

これによれば、大学などに入学するためアパートの敷金や家財道具の購入費など、自宅外通学を始めるための費用は入学者1人あたり平均39.1万円となっています。

また、自宅外通学者への仕送り額は年間平均102.3万円、月額8.5万円となっています。

これらを使って大学4年間に必要な金額を計算すると、その額は448.3万円となります。

もちろん、この額は東京都内など家賃の高い地域に住むほど高くなります。

また、この統計の金額はあくまで“仕送り額”ですから、実際に必要な生活費はこれより大きな金額になるはずです。

単純計算では4年間の学費+仕送りで900万円超え!

以上の統計から、学費(入学料+授業料+施設設備費)と生活費のための仕送りの金額を4年間合計した金額は以下のようになります。

  • 国立大学・自宅外の場合 約690万円
  • 公立大学・自宅外の場合 約703万円
  • 私立大学・自宅外の場合 約907万円

下宿して大学に通う場合は、親が仕送りをする必要があるため、国公立大学に通う場合でも必要な金額は高額になります。

こうしてみると、「自宅から通える大学にしてくれ」と親が言うのも無理はないのですね。

(私もそうでした。今度は自分の子供がどのような進路に進むのか、冷や汗ものです・・・)