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サラリーマンの節税の効果を考える(3)ふるさと納税

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サラリーマンが納税する金額を減らすために、節税策として実行できるものは限られています。
そこで、節税の効果があるものを紹介しながら、その節税額やリターンとしてどのような利益を得ることができるのか、みていきましょう。

今回ご紹介するのは、ふるさと納税です。

すでに多くの方が利用しているかと思いますが、制度の特徴を理解していないと、得をするどころか、損をしてしまう可能性もあります。
まずは制度の内容や特徴を理解し、意外な落とし穴にはまらないようにしましょう。

 ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分が住んでいる自治体以外の都道府県や市町村に寄付を行うと、その分、自分が住んでいる自治体に納める住民税や国に納める所得税の額が減少する制度です。

ふるさと納税を行うと、その金額に応じた返礼品を手に入れることができますが、これは絶対的なものではありません。
実際、返礼品を受け取らない形でふるさと納税を行うこともできるのです。
ただ、一般的には返礼品を受け取って得をするために利用されるのです。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税のメリットは、現在住んでいる自治体以外に寄付を行うと、その寄付した金額の大部分が、現在住んでいる自治体に納める住民税や所得税から控除されることです。

ただ、注意しなければならないのは、寄付した金額がすべて本来の税額から控除されるわけではないことです。
控除額の計算には上限があるため、すべてをふるさと納税の寄付とすることはできないのです。

一方で、寄付する金額が上限を超えなければ、寄付した金額から2,000円を除いた金額が税額から控除されます。
つまり、自己負担2,000円で全国各地の特産品や生活用品、あるいは電化製品などを手にすることができるのです。

ふるさと納税のデメリット

ふるさと納税に大きなデメリットはありません。
あえてあげるとすれば、実際の納税額が増えてしまうことでしょうか。

住んでいる自治体以外に寄付した金額は、住民税や所得税から控除されますが、全額が控除されるわけではありません。
そのため、少なくとも2,000円は負担が増えることとなりますし、寄付する金額が大きすぎる場合には、それ以上の負担になることもあります。

ふるさと納税を行う際は、このデメリットを理解したうえで、自己負担を最小の2,000円に抑えることができるかが重要です。

ふるさと納税は節税ではない?

ところで、節税の方法の1つとしてふるさと納税が利用されているのに、実際の納税額が増えてしまうのはおかしいのではないかと思う方もいることでしょう。

どうして負担が増えるのに、節税と言えるのか、頭の中を整理しておきましょう。

実は納税額は減少しない

寄付した金額は、本来は現在住んでいる自治体に納める住民税や国に納める所得税から振り替えられた金額です。
ただし、全額が振り替えられるわけではないため、ふるさと納税をやみくもに行うと損をしてしまうのです。

寄付した金額とふるさと納税した後の所得税・住民税の合計額が、ふるさと納税を行う前の所得税・住民税の合計額から2,000円増えただけであれば、金額的な負担は最小限に収まっています。
ただ、この検証は非常に難しいため、実際には概算の所得金額から上限額を把握しておき、その中で寄付を行うこととなるのです。

返礼品で何をもらうかが成否の鍵

ふるさと納税をしても、寄付した金額の全額が税金から控除されるわけではないということは、自己負担しなければならない金額があるということです。
ただ、この金額は2,000円にまで抑えることが可能です。

そこで、この2,000円でどれだけの返礼品を手に入れることができるかが大きなポイントとなります。
2,000円の負担をしても、それ以上に価値のある返礼品を手にすることができれば、損をすることはありません。

逆に、自己負担を2,000円に抑えても、それだけの価値のある返礼品を手にしなければ、自己負担した金額は無駄な支出となってしまうのです。

寄付した金額と返礼品の金額の関係

基本的にふるさと納税をする人は、ネットショッピングをするように、自分の好みの返礼品を選んでいるため、損をしたという感覚はほとんどないと思います。
それでは、金額的に損をすることがあるのかどうかですが、この点はふるさと納税の寄付金額と、返礼品の調達額との関係を知っておくといいでしょう。 

一時、ふるさと納税の獲得競争が加熱し、その弊害が指摘される事態にもなりました。
そこで、現在は寄付金額の3割以下の金額で返礼品を調達しなければならないと定められています。
たとえば、1万円を寄付した場合の返礼品は、自治体が3,000円以下で調達、つまり購入していることとなります。 

正確な調達額は分かりませんが、1万円の寄付でも自己負担2,000円を超えるケースが多いと考えられるため、上限額を超えなければ金額的に損をすることはなさそうです。

また、この調達額は自治体が生産者や卸売業者から購入する時の金額であり、一般消費者が購入する際の金額より低い金額となるケースが多くなります。
消費者ベースで考えると、3割よりはるかに高い率となっていることもあるため、あまり金額面で細かく考える必要はないと言えます。

ふるさと納税で損をしないための上限額とは

ここまで見てきたように、ふるさと納税で重要なのは、自己負担額が2,000円を超えないようにしながら、できるだけ多くの寄付をできるかどうかです。

ただ、この上限額をどのように知るかで多くの人が頭を悩ませているのです。

上限額は簡単に計算できない

ふるさと納税の上限額を計算するのが難しいのは、正確にその金額を求めるためには、税金計算に関するあらゆる知識が必要なこと、そして住民税の計算は所得税の計算とは異なる部分があることが影響しています。
たとえばサラリーマンの方が必ず手にする源泉徴収票を見ても、その金額を求めることはできません。

上限額を知りたい方は、様々なふるさと納税ポータルサイトを利用して、その額を計算してみましょう。

www.satofull.jp

 

furunavi.jp


詳細に計算したい場合、ある程度の金額を知りたい場合で、使い分けるのもいいでしょう。

おおよその上限額を確認してから実行しよう

ふるさと納税を行うのに、上限額をまったく計算せずに行うのは、無謀と言わざるをえません。
少しでも得をしたいと考えてふるさと納税を行っているはずなのに、そのふるさと納税で損をしてしまっては意味がないのです。

必ず上限額を計算してからふるさと納税を行うようにしましょう。

まず最初に前年の実績にもとづいた計算をしておき、年末に近づいたら再度それまでの給料や賞与にもとづいた計算を行い、より正確な上限額を把握するようにしましょう。