田舎暮らしはホントに大変!
都会でのサラリーマン生活も定年を迎え、あるいはサラリーマン生活に見切りをつけて田舎です悠々自適な生活を送りたいと考えている方もいることでしょう。
しかし、田舎暮らしはハッキリいって楽ではありません。都会から田舎へ引っ越してきた人が直面する問題について、田舎に住む筆者が思いつく限り書いていきます。
よそ者に対して非常に冷たい
人口減少や若者不足に悩む田舎ではありますが、来てほしいのはその田舎のしきたりを理解していて、どのような人かある程度分かっている○○さんの息子や孫であり、よそから突如引っ越してきた人があたたかく迎え入れられるわけではありません。
田舎には生まれてから一度も引っ越したことがなく、よそに住んだ経験もほとんどないという人がびっくりするほど多くいます。よそに住んだことのない人からすれば、田舎に引っ越してきて来る人は、これまでの平穏な生活を乱す邪魔者、といっても過言ではないのです。
ご近所付き合いが深すぎる
田舎は人付き合いが大変だというイメージはある程度持っているかもしれません。しかし、どれくらい大変なのか具体的には分からないと思います。
私が暮らす地域では、年に3回の神社のお祭りのほか、資源回収や神社の掃除を月ごとに担当となった班の人全員が行います。また、毎年田植え前に用水の掃除を農業関係者で行います。さらに、町全体で行う桜祭りの準備を有志(とはいっても半強制的にやらざるを得ない)が行います。さらに、消防団や農事組合といった集まりには、町や担当の班とは別にメンバーが集められます。
他にも、班ごとに集まって、年に何回か食事をしたり旅行に行ったりしています。このような集まりに顔を出さない人は、後で何を言われるか分かりません。人付き合いに煩わしさを感じる人には田舎の環境は耐えられないかもしれません。
年下は年長者に絶対服従
古くから、年長者をたてるという考え方は日本のどこにもあると思います。しかし、田舎に住む古い考えを持った人たちは、その考え方がかなり極端であり、また根強く残っています。
小さな頃からずっとその場所で生活してきた人が大勢いるため、誰が年長者で誰が年下か、常に意識して生活しています。そのため、誰と誰が同級生で、○○は△△の3つ年下、といった小学生のころからの記憶は、いつまでたっても消えないようです。突然、年齢も分からないような人がやってきてまともな意見を言ったとしても、まず相手にされることはないでしょう。
また、その場所による違いもあるかとは思いますが、私の近所では50代はバリバリの若手、60代でもまだまだ下っ端という感じでしょうか。
イベントごとは何がなんでも開催
1年に何回もある神社のお祭りですが、ちょっとやそっとでは中止になりません。一番身近なところでは、毎年3月に開催されるお祭りが今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止になるかと思っていましたが、予定どおり開催されました。
お祭りに集まるのは担当の班の人たちと、一部お祭りを楽しみにしている老人や子どもたちです。それほど多くの人が集まるわけではないため、神経質になる必要はないのかもしれませんが、その程度のお祭りだからこそ中止になると思っていたのが中止にならなかったのは、私にとっては衝撃的でした。
神主や住職の言うことは絶対
田舎の生活に大きな発言力を持つ人に、神主や住職がいます。このような人たちが大きな力を持っているため、先ほどの神社のお祭りも中止にならなかったということが言えるのです。
お祭りで町から支払われる御礼は、これらの人たちの貴重な収入源となっていることは容易に想像がつきます。一度縮小してしまうと、もう一度元に戻すのは大変ですから、できるだけ昔のまま続けたいのだと思います。そのため、これまで行われてきたお祭りなどの行事を中止にはしたくないのでしょう。おそらく、このような地域は他にもあるのではないでしょうか。
田舎で暮らし始めるのにいいタイミングは?
ここまで書いてきたようなことを理解したうえで、やはり田舎に住みたいという人には、経済的な面から田舎暮らしについて検討した別の記事をお届けしたいと思っています。
田舎暮らしは、悪いとは思いません。むしろ、自然に囲まれた日々を送ることこそ、人間本来の生活ともいえます。ただ、田舎に暮らし始めるのにいい年代はいつか、と聞かれたら、私は「子供が産まれる時」と答えます。それは、田舎の環境が子供にとっていいこと、そして子供をとおして自然に周囲の人と人間関係が築けるからです。年をとってから田舎で夫婦ゆっくり過ごすというのは、メディアによって作られた虚構のような世界の話だと思っています(もちろん、うまくいっている人もいるとは思いますが)。もしこの先、都会から離れて田舎での生活を始めたいと思っているのであれば、できるだけ若いうちに田舎に移住することをおすすめします。